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野田秀樹

 演劇人・野田秀樹の約30年の歩み。それは、常に観客に「受け」続けてきた歴史だ。時は16歳の秋。自ら書き上げた脚本を演出した野田は、客席に一人役者を忍ばせた。劇中、役者は突然立ち上がり服を脱ぎ出した。
「天才!」。同級生も教師も、その外連味溢れた才能をそう讃えたという。
 以降東京大学駒場キャンパスにあった小さな空間を手始めに、日本で、ロンドンで、時には歌舞伎の役者や空間も使いながら、野田の地図は時空を越えて広がり、「受け」続けている。
「演ずる者と観客のギアがあった時、創造を越えた作品ができるんですよね」
 あくまでその口調は軽やかだ。けれど目の前に観客のいないテレビスタジオでさえ、異様なテンションの勝海舟を演じるところに「受け」への執念がある。
「江戸時代から日本は幼児文化だったと思うんです。浮世絵や歌舞伎もわかりやすくてどちらかというと幼児的です。それに比べて、例えばイギリスは大人の文化だなと思いますよね。でも、大人の文化って面白くないところもありますよね。子どもから見ると、大人がやっていることってとってもつまらなくみえるじゃないですか。ただ、日本人ももう少し大人にならないといけないとは思いますが」
 その少年時代、野田はサッカー部に所属していた。ボールを蹴りながら演劇部の稽古を盗み見したのが、演劇との出会いだったという。
「悪い舞台は下手なサッカーをみているみたいなんです。ボールに人が集まっちゃってスペースがない。いい役者はその空いた空間に自然に入っていってスペースを生かす。言葉は生きたボールです」
 今日もまた、野田が紡ぎ出す活き活きとした言葉が、舞台で「受け」る。


 

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