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田中美里

  インタビューは午前十一時からの舞台が終わった日の午後だった。その笑顔に、正月以来続く二カ月の舞台の影は微塵もない。
「お芝居は大好きだからちっとも長くは感じません。昨日も舞台が終わった後で銀座でお芝居観に行っちゃったし」
 傍らでマネージャー氏が苦笑している。仕事のスケジュールよりも観劇を優先しちゃうから困るんですと零す。
 何故それほどまでに舞台なのだろう。
「お芝居を見て感動すると、あぁ私も同じ舞台に立てる機会をいただいているんだって感じるんです。それまで悩んでいたことがいきなり解決したこともあるし。もう一日女優という仕事を続けようという活力をいただいているんでしょうね」
 一つのきっかけは、周囲の期待に応えようとする余り「パニック障害」に陥った時のことだった。食欲がなくなり人と会うのが怖くなった。もともと喜怒哀楽のはっきりした性格だったのに、新人女優としてただ笑顔を振りまくだけの生活に疲れたのだ。
 そんな時、彼女は演劇と出会う。演じることではなく、客席で「感動」する快感を知った時、心が自然に晴れていった。
「それ以降仕事に追われるのは嫌だと言えるようになりました。人が感動しているのに、自分が無感動なのはすごく嫌だから」
 女優とは、舞台で素になれる素養を指す。彼女が舞台で、観客よりも深い感動を味わう時、また一人、舞台女優が生まれる。


 

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